東京高等裁判所 昭和37年(ネ)611号 判決
昭和二三年一一月六日、時寛の死亡により、本件山林について時寛の有した二分の一の持分は、その妻ます、その子控訴人、久子、房子によつて共同相続され、結局本件山林についての共有持分はますにおいて三分の二、控訴人外二名において各九分の一づつとなつたとみるべきであるから、本件買収処分の行なわれた昭和二九年五月当時においても右山林につきますおよび控訴人らは右の割合による共有持分を有していたというべきである。
それ故ますのみを所有者なりとしてなされた右山林のうちの五反歩についての本件買収処分にはかしがないとはいえないが、右のとおり、ますもまた右山林一町三反一畝一八歩(したがつて右山林五反歩)につき三分の二の共有持分を有していたのであり、かつ、前記認定のような控訴人方の家族型態、その営農の実状、右山林の管理使用の模様、右山林の登記関係、これの税金の支払の情況、および、ますが昭和二九年五月当時も右山林の単独所有者として振舞つていたとみらるべき事情等を考え合すとき、本件山林の買収処分がますのみを被買収者と表示して行われたにしても、それが右処分の取消を求め得るかしにあたるかどうかは別として、右買収処分を当然無効と解しなければならないほどのかしにあたるものとはみとめられない。
(谷本 野本 海老塚)